青茶:鳳凰山地区

広東省東部・福建省厦門(アモイ)の南に位置する、烏龍茶の産地です。
鳳凰単欉と言われるお茶と元祖工夫茶の故郷で、その茶街としての文化は今も健在です。
茶葉は「山韻」と呼ばれる爽快感のある余韻を持ち、その香りのバリエーションは他の烏龍茶には例がないほどの多さです。

芝蘭香

シランコウ
産地:広東省
蘭の花のような繊細な香りが特徴的なお茶です。金色の湯色に甘くふくよかな味わい、心地よく力強い余韻「山韻」を持っています。
※「芝蘭」とは霊芝と蘭草(藤袴…秋の七草のひとつ)のことで共に香草。「芝蘭之化」(「孔子家語」六本より出典)にあるように非常に貴重で芳しい香りを持ったものを意味する言葉。(「芝蘭之化」は転じて徳の高い友人に影響される意)

黄枝香

コウシコウ
産地:広東省
黄枝香(または黄梔香)は柔らかい花のような香り、口当たりまろやかですっきりした後味、金色の湯色が特徴です。
鳳凰単欉の味を代表する風味として産地では大切にされています。
※「黄枝(または黄梔)」とは黄色いクチナシのこと。クチナシの花は純白ですが、開花から時間が経つと淡い黄色になっていきます。また、クチナシの実はおせち料理の栗きんとんやたくあん作りには欠かせない天然着色に利用されるほど鮮やかな黄色い色素を持っています。

蜜蘭香

ミツランコウ
産地:広東省
甘く蜜のような味わいと蘭の花のような香りがすることから蜜蘭香と名付けられました。滋味深くすっきりとした心地よい味わいを持っていて、フルーティーな香りはマスカット香とも評されます。

その他の単欉

白葉単欉 ハクヨウタンソウ
産地:広東省
甘くフルーティーな香りの中に鋭さを持ち、シャープで繊細な口当たりです。
「山韻」と呼ばれるすがすがしい余韻が心地よく感じる繊細さを持っています。
1988年に品種として認定された、比較的若く、知名度はまだ低い品種ですが、その品質の良さから生産量は増加しています。

八仙過海 ハッセンカカイ
産地:広東省
「八仙」とも呼ばれます。他の茶葉と比べて葉が大きく、深みのある色合いです。すっきりした味わい、力強く心地よい余韻を持っています。
※「八仙過海、各顕神通(八仙海を過ぐるに各(おのおの)神通を顕わす)」→おのおのが自分の得意分野で全力を尽くす」という意味の諺
この他、単欉には宋種、桂花香、杏仁香、夜来香、玉蘭香など、さまざまな種類のお茶があります。